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排水管の耐用年数をご存じですか? メンテナンスの重要性を解説!

お役立ちコラム

普段生活する際に意識することがほとんどない「排水管」ですが、水回り設備には欠かせない存在のひとつです。排水管がなければ使用した生活排水やトイレの水を流すことができません。そのため、排水管はとても重要な設備のひとつなのです。しかし目に見える場所にあるわけではないため、ついメンテナンスや点検なども怠りがちで、気付いた時には水漏れトラブルが発生していたなんてこともあります。そこで今回は、排水管の耐用年数や排水管のメンテナンスの重要性について解説をしていきます。給水管については別記事でご紹介しておりますので、まだ読んでいないという方は、「自宅の給水管(水道管)の種類はどれ? 配管の交換はいつ行う?」の記事も参考にしてみてくださいね。

排水菅にいくつか種類があることは、ご存じでしょうか? 注文住宅であったとしても、なかなか排水管を指定する方は少ないです。多くの方が設計士やハウスメーカーのオススメのものを導入しているのではないかと思います。そのため、自宅の排水管の種類を聞かれても、いまいちピンとこない方が多いのではないでしょうか。そこでまずは、現在使われている排水管の種類についてお話をしていきます。

アルファ鋼管は、昭和50年代(1970年代後半)にマンション建設ラッシュと配管の腐食問題への対応策として登場しました。当時は、工事現場での作業を効率化することが重要視されており、配管の軽量化や簡単な接合方法が求められていました。アルファ鋼管は、軽量化を図るために従来の鋼管よりも薄い肉厚を採用しました。これにより、現場への搬入や施工がしやすくなりました。当時はとても広く採用されていた配管のひとつでしたが、使用開始から25年程度でコーティングが膨れ始め、その後剥がれた箇所から鋼管が露出し、腐食が進行するというトラブルが多くなりました。特に鋼管が薄肉だったため、腐食が進むと水漏れが同時に起こることも珍しくありませんでした。こうしたデメリット面を受けて、さらに優れた耐火二層管などの新しい技術が普及したため、平成に入る頃には次第にアルファ鋼管は使われることがなくなっていき、今現在では取り入れられることはなくなりました。

耐火二層管は、二層構造を持つ配管で、内層が硬質ポリ塩化ビニル管、外層が繊維混入セメントモルタルで作られています。この二層構造により、さまざまな条件下で優れた性能を発揮します。内層に使用されている硬質ポリ塩化ビニルは、酸やアルカリなどの排水にも強く、腐食しにくい耐薬品性を持っています。このため、家庭用排水管から大型施設の排水システムまで、幅広く利用されています。また、外層の繊維混入セメントモルタルは吸水性・吸湿性があり、結露の問題を防ぐことができるため、塩ビ管や金属管のような防露施工が不要です。さらに、セメントモルタルは水流音を遮断するため、遮音性にも優れており、建物内の排水管から発生する騒音を抑える効果があります。耐火二層管は、内外層の異なる素材がそれぞれの弱点を補い合うことで、幅広い用途で高い耐久性を発揮する配管です。遮音性や耐薬品性、耐火性など、多くのメリットがあり、現代のさまざまな建築物で採用されています。ただし、耐衝撃性については少し弱い部分が残っているため、その点には注意が必要です。

配管用炭素鋼鋼管は、昭和50年代頃まで、台所や浴室、洗面、洗濯などからの雑排水管や通気管として広く使われていました。別名「白ガス管」「SGP管」「鉄管」とも呼ばれ、建物の排水システムでよく見られた古い配管材です。この鋼管は、内側と外側の両方に亜鉛メッキが施されているのみで、防錆処理が不十分でした。そのため、長期間使用していると、内部に錆びが発生し、さらに外側も含めて全面的に腐食が進む問題がありました。溶接部分から腐食が進みやすく、水漏れにつながることが報告されています。昭和50年代後半からは、耐食性に優れた他の鋼管が普及し、配管用炭素鋼鋼管の使用は減少しました。現在新築の建物に使われることはありませんが、配管用炭素鋼鋼管が残っている建物は水漏れリスクや配管全体の劣化の懸念から、配管の取り替えを行っています。

鋳鉄管は、溶かした鉄を鋳型に流し込んで製造される管で、日本では明治時代から使用が始まりました。鋳鉄管は、強度や硬度が高く、腐食にも比較的強い特性を持っていたため、長い間、特に水道管として使用されてきました。鋳鉄は鉄や鋼と比べて炭素量が多く、電気抵抗が高いため、腐食しにくい点が大きな利点でした。しかし、鋳鉄管には欠点もあります。それは「衝撃に弱い」ということです。伸びや粘り強さが不足しており、外部から強い力が加わると破損しやすく、特に耐震性に問題がありました。このため、鋳鉄管は次第に改良された管種に置き換えられていくことになります。鋳鉄管の欠点を改善するため、昭和30年代以降に普及したのが「ダクタイル鋳鉄管」です。ダクタイル鋳鉄管は、鋳鉄の内部に分布する黒鉛を球状化させることで、伸縮性や耐震性を向上させたものです。この改良により、ダクタイル鋳鉄管は従来の鋳鉄管よりも衝撃に強く、耐久性も向上しました。当時はダクタイル鋳鉄管は日本の水道インフラにおいて主流となり、鋳鉄管と言えばダクタイル鋳鉄管を指すようになりました。現代では、ポリエチレン管などの新しい素材を使った管も登場しており、ダクタイル鋳鉄管の使用は減少傾向にあります。それでもなお、ダクタイル鋳鉄管はその優れた性能により、現在も多くの場所で活躍しています。

塩化ビニル管(PVC管)は、主に排水や下水の配管材として広く使われているプラスチック素材の管です。その最大の特長は、耐薬品性に優れており、酸やアルカリなどの化学物質によって腐食しにくいことです。また、錆びないためメンテナンスが少なく済み、軽量で取り扱いが容易なので、施工の効率が向上します。さらに、価格が比較的安いため、コストパフォーマンスも高いです。しかし、耐熱性が低く、高温の排水には不向きです。また、衝撃に対して脆いため、強い外力がかかると割れることがあります。紫外線による劣化も進みやすいので、屋外での使用には注意が必要です。これらの特性を踏まえ、主に住宅内に使用されていることが多いです。

ポリエチレン管(PE管)は、柔軟性が高く、耐寒性や耐衝撃性に優れた配管材で、主に水道管や排水管、ガス管として利用されています。特に地震や地盤の変動に強く、柔軟な特性により破損しにくい点が大きな利点です。寒冷地でも凍結に耐えるため、凍結による破裂のリスクが低く、長寿命で50年以上の使用が期待されます。耐薬品性も高く、酸やアルカリに強いため、腐食しにくい特長を持っています。しかし、PVC管と同様に耐熱性が低く、高温の排水には適していません。また、コストがPVC管より高く、施工時には特定の接合技術が必要となるため、工事費用が増加する場合もありますが、長期的な耐久性や安全性を考慮すると優れた選択肢です。

今現在古い住宅やマンションに使われている可能性のある比較的古い排水管から、今現在主流となっている排水管の種類まで、それぞれ詳しく解説をしてきました。もっと細かく見ていくとまだ他にも種類があるのですが、排水管の種類のご紹介はここまでとしておきます。一部の排水管といえ、その種類はとても多いです。また使用されていた年代によって技術や配管そのものの耐久性も変わってくるため、耐用年数が違います。そこでここでは、ご紹介してきた排水管の耐用年数についてもご紹介していきます。耐用年数の根拠として解説している部分は、先ほどの種類の紹介と少し重なる部分がありますが、耐用年数を参考に配管の交換時期を検討してみてくださいね。

耐用年数:25~30年
アルファ鋼管は昭和50年代に開発された排水管で、内外面に塩化ビニル樹脂で被覆されていますが、密着性が高くなく、約25年を過ぎると被覆が剥がれ腐食が進行することが報告されています。被覆が剥がれると薄い鋼管部分が腐食され、漏水リスクが高まるため、25~30年での交換が推奨されます。

耐用年数:30~50年
耐火二層管は、外層が繊維混入セメントモルタル、内層が硬質ポリ塩化ビニル管で構成されています。繊維モルタルにより耐火性や遮音性、耐腐食性が高く、内側のPVCも耐薬品性に優れているため、耐用年数は30年以上とされています。メンテナンスが良好であれば50年近く持つことも可能です。

耐用年数:15~25年
配管用炭素鋼鋼管は、亜鉛メッキで防錆処理されているものの、特に台所からの油脂分や腐食性の高い排水が流れると腐食が進行しやすいです。通常、25年程度が寿命とされていますが、排水の種類や使用環境によっては15年ほどで交換が必要になる場合もあります。

耐用年数:30~50年
鋳鉄管は強度が高く、耐久性にも優れていますが、重量があり防錆処理が損傷を受けると腐食が進みやすいです。ダクタイル鋳鉄管は改良された鋳鉄管で、耐震性や強度が向上しています。一般的には30~50年の耐用年数がありますが、腐食が進む環境では短命になることもあります。

食に強いですが、紫外線や高温に弱く、衝撃にも脆い部分があります。主に屋内排水管として使用される場合、外部の要因が少ないため30年以上の耐用年数が見込まれますが、使用環境によっては40年近く持つこともあります。

耐用年数:50年以上
ポリエチレン管は非常に柔軟で、耐衝撃性や耐寒性に優れており、腐食の心配もほとんどありません。特に地震などの外的な力にも強いため、非常に長寿命で、50年以上の耐用年数が期待されています。ただし耐用年数の過信は危険です。定期的なメンテナンスを実施して、配管にトラブルがないか確認することはとても大切です。

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